塩の基礎知識
塩をじっくりながめたことがありますか? 塩の一粒一粒は結晶で、これをクローズアップしてみると、その姿は不思議な美しさを持っています。
塩の全体像をつかむには、まずはその性格と容姿を知ることです。塩がどんな性
質を持っているのか、結晶はどんな形をしているのか、ご紹介しましょう。
主な性質
*海の中や身体の中では、イオン状態
塩は、水に溶けるとナトリウム(Na)イオンと塩化物(Cl)イオンに分かれます。海の中や人の身体の中で、塩はこのイオンの状態になっています。
*湿度によって、水分を出し入れする
塩には、湿度が高いと水分を吸い、湿度が低くなると水分を放出するという性質があります。水分を吸ったときは塩が溶け、水分を放出するときに溶けていた塩が析出するという現象で、このとき析出した塩が、結晶同士を結びつける接着剤の役割をします。まわりの湿度の変化によってこうした溶解・析出を繰り返すことで、塩の結晶同士が強く結びつき、固結が生じます。塩を密閉しないで保存すると固まってしまうのはこのためです。
*結晶は無色透明
塩が白く見えるのは、光の乱反射が原因で、結晶は無色透明なのです。
*浸透脱水作用
塩には、水分を取り除く浸透脱水作用があります。野菜に塩をかけると水が出てくるのはこのためです。
*塩の硬さは、石膏と同じくらい
塩の硬さはモース硬度2.0 ~ 2.5。ちょうど石膏と同じくらいで、鍋やコップを磨けるほどの硬度です。
*防腐・滅菌作用
塩には、防腐作用や滅菌作用があります。塩漬けしたものが腐りにくいのはこのためです。
*塩の性質に関する数値
氷点:-21℃ / 融点:800℃ / 沸点:1,400℃ / 比重:2.16
結晶の形
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正六面体(サイコロ形)
塩の結晶の標準的な形で、塩水の中で四方八方に均等に結晶が成長したものです。
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トレミー
塩水の表面の結晶が、自重で少しずつ沈み込みながら成長すると、トレミーという逆ピラミッド形になります。
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フレーク
塩水の表面に成長した結晶は、割れるとうすい板状(フレーク状)になります。
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樹枝状
結晶の粒は、成長する条件によっては、杉などの枝に似た樹枝状の形になることがあります。