

塩の味を決める「ルール」には、塩に関わる2つの要素が大きく関係しています。それは「粒の大きさ」と「にがりの量」です。

塩の味を決める大きな要因は「粒の大きさと粒形」。一般的に、粒の大きい塩ほどまろやかな味です。細かい粒は口の中で素早くたくさん溶けるため塩味が強くなり、大きな粒は口の中でゆっくり少しづつ溶けるのでまろやかに感じるのです。また、フレーク塩のように形状が複雑で比表面積の大きい塩は強く塩味を感じます。
大粒
小粒


一般的に、「にがり」の量が多い塩ほど、直接的な塩味から遠ざかり、複雑さやこくが出てきます。にがりとは、海塩(海水からつくる塩)の製造過程でできる液体のことで、マグネシウムやカリウムといった無機物、ミネラル成分をたくさん含んでいます。にがりのミネラル成分にはそれぞれ味の特徴があり、例えば塩化マグネシウムや塩化カリウムは苦味を感じさせます。これらのミネラルの味によって塩の鹹味(かんみ)がおさえられ、複雑な味が生まれるわけです。

「じゃあ『岩塩』や『天日塩』は味とは関係ないの?」と疑問に思われた方もいるかもしれません。実はその通りで、製法や原料は、あまり味とは関係ないのです。たとえば岩塩の味がまろやかなのは粒が大きいからで、細かいサラサラの岩塩ではそういう味はしません。にがりの量に関しても、単純に「この製法だから多い」ということはいえないのが実状です。

特に日本では、天日塩を外国から輸入し、国産のにがりを添加した商品がたくさん販売されているので、にがりの含有量と製法の関係はあいまいです。つまり純粋に味覚の見地からいえば、やはり「粒の大きさ」「にがりの量」が味を決めていることになります。
イメージに訴える広告などにまどわされず、目的に応じた塩を正しく選びたいですね。